グルコサミンの科学的根拠2
寒波にも負けず(?)「サプリメントの真実を目指す旅」も順調に進んで
います。
今週は「グルコサミン」についての「科学的根拠」第2弾です。
先週は「グルコサミンは効く!」という代表的な論文を紹介しました。
すると、読者の方々から「グルコサミンを飲んでも全く効かなかった!」
というメールを頂きました。m(_ _)m
実際、外来で患者さんからこのような話を聞かされる事も少なくありません。
今週は「グルコサミンは効果なし!」と報告した代表的な論文をガイドします。
◆リウマチ学会誌(the journal Arthritis & Rheumatism Oct.15;738-45.2004)
●Randomized, double-blind, placebo-controlled glucosamine discontinuation
trial in knee osteoarthritis.
抄録はこちら → http://tinyurl.com/939jl
この論文はバンクーバーにあるカナダ関節炎センターのJolanda Cibere博士らが
報告しているものです。変形性膝関節症の患者さん137名を対象としています。
まず、約半数の人(71人:グルコサミン内服)に一日1,500mgのグルコサミンを
約2年間摂ってもらいました。
その後6ヶ月間の追跡調査をして、プラセボ偽薬を飲んだ人(67人)と
比較してその効果を調べた研究内容です。
さて、気になる結果ですが。
ずばり。
「グルコサミンは効果なし!」 オー。マイ、ガット!….(泣)
みなさんから「え~!やっぱり~!」とか「効くと信じていたのに~!」
そんな声も聞こえてきそうです。
ではこの結果をもう少し細かくガイドしましょう。
まず、関節炎の再燃率では、グルコサミン服用者とプラセボ服用者との
間には有意差はなかったということです。
さらに、グルコサミンを摂った人は、痛みが軽くなったり炎症が軽くなったり
していなかったと報告されています。
また、炎症反応はプラセボ群では42%が、グルコサミン群では45%
と差が見られず、依然続いていたということです。
この研究者の結論は以下のとおり。
●患者さんはたとえ初期に効果があったとしても、長期服用で本当に効果が
得られると考えないほうが良い!
しか~し!
この研究結果に疑問を投げかけてる専門家は少なくありません。
サンフランシスコのストーン・スポーツ医学及び関節炎研究所の
Kevin Stone博士は、この報告に対して以下の点で反論しています。
1.対象が少なく(137名:グルコサミン内服は71名)であり、
欠陥が多い。
2.グルコサミンを途中で止めた人の結果も含まれている。
これは私の個人的な見解ですが、この研究結果は説得力に乏しい内容ですね。
対象となっている人数が少なく、経過観察期間も短いです。
その点では、先週ガイドした2つの論文の方が信憑性はかなり高いと言えます。
まだまだ、議論の余地はありそうですが、世界の流れは
「グルコサミンは効果あり!」
です。ただ、ネットや新聞、メディアを通じて広告されているグルコサミン
全てに効果がある訳ではないようです。
効果があるのとないものとの違いは?
これについては、いずれガイドしましょう。
さて、次回はグルコサミンと双璧をなす、「コンドロイチン」について
ガイドします。
「サプリメントの真実を目指す旅」はまだまだ続きます。
整形外科医がエビデンス(科学的根拠)を示しながら、わかりやすく
ガイドして行きます。
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~