ランナーのためのランニング障害SOS
まつだ整形外科クリニック

関節内注射

先週は「関節液(水)」についてガイドしました。
まずは復習。

●関節液とは・・・
関節を滑らかに動かす「潤滑液」であり、かつ関節軟骨に「栄養を与える」
という大切な役割を担っています。

たかが水。されど水。
わずか数cc の関節液はとても重要な存在なのです。
でも、この大事な関節液(水)を時に抜く事が必要になります。
そして、薬を入れる事も。。。
今週は「関節内注射」についてです。
じっくりガイドしますのでよく読んで下さいね。

◆関節穿刺(かんせつ せんし)って?
医療の現場では、関節液(水)を抜く事があります。整形外科医にとっては
日常よく行われる治療行為です。

では、なぜ大切な役割を担っている関節液を抜かなくてはいけないのでしょう。
膝にたまる水は滑膜という組織が作っています。その滑膜が刺激を受けると
過剰に水が作られてしまいます。
さらには水が溜まっていること自体が滑膜を刺激して、さらに関節液(水)
が溜まります。
まさに「悪循環」なのです。

この悪循環を断ち切る一つの治療が「関節穿刺」です。
あくまでも「治療行為」です。
(注)あくまでも穿刺(せんし)は必要な時だけ行います。少量であれば滑膜の
炎症が治まって自然に吸収されるのを待ちます。

◆関節注射の内容は?
我々が、関節内に薬を注入する事があります。あくまでも症状によりますが、
一般的には関節内の炎症が強く、痛みが強い場合に行います。
では、中に入れているお薬はどんなものなのでしょう。

目的は・・・
→「炎症を抑えて痛みを和らげる!」
これを目的にしています。

医療現場で使用されるのは主に2種類あります。

▼ヒアルロン酸
整形外科医が好んで使用するのが「ヒアルロン酸」です。
なぜなら、ヒアルロン酸には「炎症を抑える」効果があるからです。

そしてさらに大切な事。
ヒアルロン酸はもともと関節内にある成分なので、それ自体に「副作用」
の心配がないという事です。
ヒアルロン酸は関節軟骨の中に含まれているプロテオグリカンの核として
存在しています。

そして、たんぱく質の複合体とともに、関節軟骨の表面を覆って、関節が
スムーズに動けるように潤滑液の働きをしているのです。
  
炎症を抑え、副作用がない。
従って一般的に好んで使用されているのです。

▼ステロイド(副腎皮質ホルモン)
ヒアルロン酸以外に使用されているのが「ステロイド」です。
これは、炎症を鎮める作用がとても強いので、痛みを和らげる点では大変
効果があります。

ですから、痛みで苦しんでいる患者さんに多く使われます。

ただし、ステロイドには副作用があります。
代表的なものを2つ挙げましょう。

1)関節軟骨や骨を弱くする

2)感染に対する抵抗力を弱める
従って、骨の脆(もろ)い方や、糖尿病などの疾患を患っている患者さん
には注意が必要です。

しかし、これらの副作用に注意して使用すれば強い効果が期待できます。
いずれにしても、外来で注射を薦められた時はその薬の内容について
主治医の先生に聞いてみましょう。

◆関節注射の注意点?
さて、ここまで関節注射は「炎症を抑え、痛みを和らげる」効果があると
ガイドしてきました。
ただ、やみくもに注射すれば良いというわけではありません。

われわれが最も注意を払うのが「感染(かんせん)」です。

元来、関節の中は「無菌」です。
ですから、注射を施す際に針を刺す場所を十分に消毒しますが、針を通じて
ばい菌が侵入する可能性があるわけです。
一般的にはそれだけで感染する事は非常に稀ですが、ゼロではありません。

特に、高齢者や何らかの内臓疾患を患っていて「抵抗力」の落ちている
患者さんには注意が必要になります。
注射の際に、現在の病気や飲んでいるお薬について何も聞かれない場合は
自ら内容について話をしてみましょう。
飲んでいる薬を提示するだけで参考になります。
(もちろん、看護師さんや医者の方から聞かれるのが一般的です。)

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今週のガイドはこれでおしまいです。
来週は「膝の痛み」について特集を組む予定です。
「膝の痛み」といってもいろいろあります。
・どのような時に。
・どんな痛みが。
具体的に歩くと痛いのか、走ると痛いのか、それともじっとしていても痛い?
これらについてわかりやすくガイドします。
お・た・の・し・み・に~

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