骨粗鬆症Q&A
読者のみなさんから頂いた質問や実際に医療現場で受ける事の多い質問を
中心にQ&A方式でガイドします。
Q1.そもそも骨粗鬆症(こつ そしょうしょう)ってどんな病気?
A1.
まずはもう一度下の公式を読んで下さい。
● 粗(あらい) + 鬆(す) = 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、長年の生活習慣などにより骨の量が
減って「スカスカ」になり、骨折をおこしやすくなっている状態、もしくは
骨折をおこしてしまった状態のことをいいます。
Q2.骨粗鬆症による症状の特徴って?
A2.
最も特徴的な症状は以下の3つです。
1)腰・背部痛
2)身長の低下
3)円背(背中が曲がってくる)
これらは、背骨の骨格である椎体という骨の骨折が原因です。
Q3.骨粗鬆症はどうやって起るの?
A3.
人間の体の中では「骨代謝(こつたいしゃ)」がバランス良く行われて
います。このバランスが崩れると骨粗鬆症が起ります。
そもそも人間の体の中では細胞の新陳代謝がされています。骨も同じで
常に古い骨を壊し、絶えず新しい骨に作り変える代謝が必要です。これを
「骨代謝」といいます。
骨をもとになるカルシウムやホルモンが不足してくると…
●「 骨をつくる量 << 骨を壊す量」
となってしまい、骨がスカスカになってしまいます。
こうして骨粗鬆症となってしまうのです。
Q4.骨粗鬆症になりやすい人ってどんな人?
A4.
誰でも出来ることなら骨粗鬆症にはなりたくないですよね。
人間誰でも、年を重ねるにしたがって骨の量は減っていきます(泣)。
でも、みんながこの病気になる訳ではありません。
日常生活の過ごし方で、かなりの個人差が出てきます。
ここでは、代表的な危険因子についてガイドします。
1)女性→男性に比べて骨が細く、閉経によって骨をつくるもとになる
女性ホルモンの分泌が減ってしまいます。
2)遺伝に関係
閉経の時期が早い・痩せ型
3)日常生活の過ごし方に関係
・偏食・運動不足・アルコール・コーヒーの多飲・喫煙
・日光照射不足など
4)病気に関係
・胃切除・糖尿病・甲状腺機能亢進症・高カルシウム尿症
・副腎ステロイド投与・原発性副甲状腺機能亢進症・腎不全など
日常生活の過ごし方を改善するだけでもリスクはグッと低くなります。
当てはまる方。生活スタイルを見直しましょうね。
Q5.骨粗鬆症の予防法はありますか?
A5.
予防にはとても大切な3原則があります。
それは….
1)食事
2)運動
3)日光浴
この3原則を忘れずに生活する事が大切です!
●食事編
特に日本人の食事で不足しているのが「カルシウム」です。
ですから「カルシウム」の摂取を心がけましょう!
乳製品はもちろん、大豆や小魚、緑黄野菜や海草などを積極的に
取りましょう。
その際、タンパク質やビタミンDを一緒に摂取するとカルシウムの吸収が
良くなります。
●運動編
骨を作るには荷重(骨に刺激を与える)がかかっていることが必要です。
適度な運動で骨が刺激されると、体内に入ったカルシウムが有効に使われ、
骨量が増えることがわかっています。
何も激しいスポーツが必要となるわけではありません。毎日の30分程度の
散歩でも効果は十分あります。
とにかく続けてみましょう。
骨だけではなく、筋力アップにもつながり、転倒予防の効果も期待出来ます。
●日光浴
実は、カルシウムを摂取すればすぐに吸収されるわけではありません。
そのために欠かせないものがあります。それが…
ビタミンD!です。
ビタミンDは、「人間の皮膚が日光の紫外線を浴びる」ことでつくられます。
ですから日光浴は骨粗鬆症の予防にとって大切です。
日焼けする必要はありません。夏なら日陰で30分ほど。冬であれば外で
1時間ほどの日光浴で十分です。
実はこの3原則。とても大切なのですが、知らないがためにクスリや
サプリメントに走ってしまう。そんな患者さんがとても多いのですね。
身近に骨粗鬆症で悩んでいる方がいましたら教えて上げて下さいね。
Q6.骨粗鬆症の検査は何歳ごろがいいのでしょう?
A6.
正確な答えはありませんが、一般的には50歳前くらいの「閉経前」が
いいと思います。
なぜなら、もし閉経前に骨量が少なければ、閉経によってさらに減ること
が予想されるからです。その場合は早めの対策が必要です。
ただ、各年代によって骨量をはかる意味があります。
少し詳しくガイドしますからあなたの年齢に合わせて考えてみましょう。
◆年代別による骨量チェックの意味とは?
●20~40歳代
この年代は一番骨量が多い時期です。ですから、
「もともとの骨量が多いか少ないか」を知る事が出来ます。
一つの指標になりますね。
●50歳~
この時期は閉経を迎えます。その影響で骨量が落ちていないかを確認出来ます。
もし、この時期に急激に落ちている事がわかれば、早期の治療が可能になります。
●60歳~
閉経後の急激な骨量の低下は過ぎている時期になっています。現在の状態を
知ることによって後の治療法や対策の手がかりをつかめます。
●70歳~
転倒などの骨折が多くなってきます。転倒予防などの具体的な対策を練る指標に
なります。
●その他 定期的に測定
半年から1年ほどの間隔で、定期的に測定するのも一つの有効な方法です。
骨量は維持されているのか?それとも減少しているのか?
これらを知ることによって、現在の治療法や今後の対策、日常生活の改善など
が可能になります。
——————————————————————–
今週のガイドはここまで。
骨粗鬆症について少し理解出来ましたでしょうか?
好評につき、来週も引き続きQ&Aをガイドします。
検査方法、治療薬や効果的な運動方法などをガイドする予定です。
今週と来週分をまとめて保存しておくことをお薦めします。
お・た・の・し・み・に~