五十肩
◆五十肩の秘密? それは江戸時代から始まった
そもそも、五十肩って何なんでしょう?これほど、ありふれた疾患
なのに説明できる人は殆どいません。
なぜでしょう?
実は、五十肩とは臨床症状を中心とした「疾患群」であり、単一した
疾患ではないのです。
そして何より、医学的な疾病を表すために作られた医学用語ではなく、
それはまさに
「市井の人々」によって長い間使われてきた言葉なのです。
江戸時代の文献に以下のような記載があります。
「凡、人生五十歳ばかりの時、手腕、骨節痛む事あり、程過ぐれば薬
せずして癒るものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう。」
つまり、中年以降の「肩関節の痛み」の総称として使われていたの
ですね。
たかが五十肩。されど、五十肩。
江戸時代からの歴史の重みを感じますね….。
◆五十肩とは?
江戸時代から使われていた「五十肩」。現在われわれ整形外科医の中
では「肩関節周囲炎」(かたかんせつ しゅういえん)と呼んでいます。
あくまでも「肩関節の周囲に炎症が起った状態」を意味しているんですね。
年齢は問いません。
ですから、三十肩もあれば八十肩もあるわけです。
◆「肩こり」との違い?
以前、ガイドした「肩こり」。
では、「五十肩」とはどう違うの?
これは、多くの読者さんから頂いた質問です。
簡単に言うと、「肩こり」は筋肉疲労。いっぽう、「五十肩」は炎症です。
「肩こり」は悪い姿勢や緊張などによって、筋肉疲労がおこります。
その結果、血液循環も悪くなり、張りや痛みをおこします。
「五十肩」はあくまでも「炎症」です。
以前、ガイドしましたように肩関節は広い可動性を持ってます。それだけ
構造も複雑なのですね。
そこには、筋肉や腱、そして関節をスムーズに動かす「滑液包」
(かつえきほう)などがあります。
そこに「炎症」が起ってしまうのですね。
当然、若い人よりも中年以降に起りやすくなってきます。
さて、「神秘の森。五十肩」の入り口を覗いてみました。
奥はまだ暗ーく、少しひんやりとしています。
さあ、来週はグッと奥までガイドします。
五十肩の原因は? 症状は? そして治療は?
つづきは来週。
お・た・の・し・み に!
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