頚椎の病気・疾患
はじめに
頚椎の病気・疾患といってもたくさんあります。
全部ガイドするのはとても大変!
そこで、みなさまに比較的、遭遇することの多いものを選んでガイドします。
わかりやすいように「例」をあげながら。。。
<例1> 48 才、女性、事務職
以前より、肩こりに悩まされています。仕事は事務職ですが、それほどパソコンは使いません。
最近、唯一の趣味だったテニスをすると夜間は首から肩、肩甲部まで痛く、少々不眠気味です。。。
鍼やお灸をすると少し楽になる気もしますが。。。
最近、頭も痛くなることが多くなりました。。。
レントゲンを見ると、S字カーブは消失。
いわゆる逆S字カーブになっています。
骨には「骨棘」(こつきょく)と呼ばれるいわゆる「とげじょう」の骨の突起が出来ています。
病名:「変形性頚椎症」
これは、首の病気でもっとも多くみられます。
多くが、「年齢的な老化」が原因で、骨に骨棘というものができ、それが神経を圧迫するために起こるんですね。
年齢的な老化といわれるとがっかりしてしまいますね。
ただ、決して老化だけではなく、その方の「生活様式」や仕事の状況にもよります。
レントゲンでは、骨棘以外にも椎間板が狭くなっている事が多くみられます。
先週ガイドした「椎間板」や「椎間関節」が変性を起し、その結果、骨棘が出来ると考えられています。うーん。少し難しいですね。
さまざまな症状
症状は、肩こり、頭痛、首、肩甲部痛、頚椎の運動制限、しびれなどが一般的ですが、頑固な頭痛やめまいなどを起すこともあります。
そのため、頚椎の病気とは考えられずに、脳、耳、内臓、婦人科疾患と考えられて、随分と回り道をして来られる方も少なくありません。
本当にかわいそうな現実です。
一般の方はもちろん、医療関係者にも以外に知られていないのですね。
<例2> 28歳、男性、営業職
連日、外回り、会社に戻ってからの残務処理などですっかり疲れきっているようです。
肩ころがひどく、夜遅くまで診てくれるマッサージへ頻繁に通うようになりました。
雑誌で読んだ肩こり体操をしたところ、首から背中にかけて「電気」が走るような激痛が生じました。
友人の紹介などで、いくつかの病院をまわりましたが、薬を飲んでも良くなりません。ある日「牽引」をしたら痛みがさらに強くなってしまいました。。。
病名:「頚椎椎間板ヘルニア」
「ヘルニア」って腰だけじゃないの?
なんて声が聞こえてきそうです。
確かにヘルニアは腰にもっとも多い病気ですが、もちろん「頚椎」にもそして稀ではありますが「胸椎」にもあるんですよ。
ヘルニアは無理な力が加わり、椎間板が飛び出して、神経を圧迫するために起こります。「強い痛み」が特徴です。
痛みの場所はさまざまです。
首であったり、肩、肩甲部、腕から指先まで。
簡単な外傷がきっかけで起こりますが、殆どの方は自覚していないようです。
<例3> 22歳、女性、事務職
毎日、パソコンとにらめっこです。
多いときは一日12時間以上パソコンに向かっている日もあるそうです。
半年前から、「めまい」や「ふらつき」が生じるようになりました。
脳外科や耳鼻科、婦人科にも通いましたが、まったく異常はみつかりません。
でも、症状はひどくなるばかりです。
最近、夜もぐっすり眠れません。。。
病名:「頸・肩・腕症候群」「頚椎不安定症」
レントゲンをみますと、骨棘は見られず、椎間板も正常のようです。
S字カーブはやや消失しており、ストレートでした。
頚椎を前・後屈すると症状が悪化するので、機能的レントゲンを撮ると4番目と5番目で不安定性がみられます。
また、屈曲すると逆S字カーブを呈しました。
実は頚椎の骨の中を大事な血管が走っているんです。
この血管は「椎骨動脈」とよばれるもので、脳、つまり頭へ通っています。
そのため、頚椎に不安定性があると、脳にいく血流が障害され「めまい」や「ふらつき」が生じてしまいます。
パソコンを長くやっていると、頚椎は屈曲しますよね。
そのため、不安定な状況が起こりやすいのです。
<例4> 68歳、女性、無職(定年前は学校の先生)
若いころより、腰痛や肩こりがあり整形外科や接骨院、マッサージへ通院していたようです。
2年前より、右手のしびれと脱力、昨年からは左手にも症状がでてきました。
薬を飲んだり、マッサージを受けたりしていましたが、症状は進行。
最近は階段をうまく下りられなくなり、大好きだった車の運転もできなくなりました。
食事も楽しくありません。
箸はうまく使えず、よくこぼすようになりました。服のボタンもうまくかけれません。。。
病名:「頚椎脊柱管狭窄症」
ほとんどの場合、「変形性頚椎症」をともなっています。
これは、「脊髄」がはしっている骨のトンネルである「脊柱管」が狭くなり脊髄を圧迫してしまうために生じます。
===生まれつき?===
じつは脊髄のスペース、サイズは決まっているんです。
もともと「脊柱管」の狭い方がいるんですね。
外来でも時折みかけますのでその際には必ずお話をしています。
ただ、骨以外、つまり靭帯などが老化や他の要因によって脊柱管を狭くしてこのような症状がおこります。
さて、4つの例をあげました。心当たりのある読者の方もいるのではないでしょうか?
では実際に治療はどうしたらよいのでしょうか?
次回は「治療」についてガイドしましょうね。
注意、免責事項について
■医療相談は行っていません。治療中に方は主治医の方にご相談下さい。
■記載内容を利用して生じた結果については、当方では責任は取れません。