膝の機能と可動性
今週も「膝の荒野」編をお届けします。
膝には「軟骨(なんこつ)」「靭帯(じんたい)」「関節包(かんせつほう)」があると前回ガイドしました。
これに「筋肉」が加わって「安定」した「滑らかな」動きが可能になっているのです。
さて、今回は興味深いデーターを紹介しながら、膝の機能についてガイドしていく事にしましょう。
膝の機能はどうなっているの?
私達の下肢には股関節(こかんせつ)と膝関節(ひざかんせつ)と足関節の3つの大きな関節があります。
中でも中心的な役割を担っているのが「膝関節」です。
特に大切な機能は次の2つです。
●可動性(かどうせい):下肢を動かす機能
●支持性(しじせい):体重を支える機能
では、それぞれの機能についてもう少し具体的にガイドしますね。
可動性について
膝関節の可動性は一体どれくらいだと思いますか?
まず、膝の曲げ伸ばし(屈伸運動)をしてみましょう。
膝を伸ばした時を0度とします。
もっとも曲げた時、たとえば正座などでは約140度くらいになっています。
実際に歩いている時は約60度。しゃがみこむ動作で約100度です。
つまり、膝関節は0から140度くらいまでの幅広い動きを担っているのです。
支持性について
さて、いきなりですが質問です。歩いている時に膝に負担がかかるのは実感出来ると思います。
では、一体通常の平坦な道を歩く時に、どれだけの負担がかかるでしょうか?
足が床に着いた直後と床から離れる直前には何と….
「体重の3倍」繰り返します!
「体重の3倍」です。
当然、階段の上り下りや走ったりすると、さらに負担がかかるわけです。
太りすぎは良くない!と言われるのには理由があるのですね。
1キロ体重が増えると関節には3倍の3キロ負担が増えるのです。
太りすぎは良くないわけですね。←納得!
しかも、膝関節には荷重がかかりやすい弱点があるのです。
膝関節の弱点
同じ下肢の関節で体重を支える関節である「股関節」を考えてみましょう。
股関節は球関節(きゅうかんせつ)といって、「球状の骨」と「おちょこ」のような球面を受けるような形状の骨との組み合わせになっています。
この球関節の場合は「面を面で受ける」ので、接触面が広くなり関節への負担は少なくてすみます。
ところが、膝関節の場合どうでしょう。
球状の大腿骨(太ももの骨)を平面の脛骨(すねの骨)が受ける形になっています。
ですから、点のような小さな接触面で荷重を受けることになってしまいます。
そのため関節への負担は大きくなるのですね。
そしてもう一つ。膝関節には負担がかかりやすい弱点があります。
なぜ膝には大きな負担がかかるのか???
せん断力(せんだんりょく)
せん断力? 聞きなれない言葉ですね。
これを紐解く鍵が膝の構造にあります。
膝はすねの骨(脛骨)の上に太ももの骨(大腿骨)が乗った状態です。
そして立っているときは体重による垂直方向の圧縮力(あっしゅくりょく)だけがかかってきます。
ところが、一度歩き始めると…
体重がかかった状態で、大腿骨が脛骨の上をこすれあうように動きます。
しかも…
「転がり」…「すべり」….そして「回旋(かいせん)」します。
この動きの時に「せん断力(せんだんりょく)」がかかります。
圧縮力に対しては比較的強い膝も「せん断力」には非常に弱いのです。
(圧縮力)
↓↓
●
↑↑
(せん断力)
→→
●
←←
●=ひざ
矢印=力の向き
今週のガイドはこれでおしまいです。
次回は膝関節の軟骨(なんこつ)についてもう少し詳しくガイドしましょう。
今シリーズの「膝の荒野」編はぜひ欠かさずお読み下さい。
教科書には書いていない素朴な疑問Q&Aシリーズも特集で組む予定です。
さらには軟骨に効くといわれる「サプリメント」についても。。。
お・た・の・し・み・に~