サプリメントの摂り方
「サプリメントの真実を目指す旅」もいよいよ最終回です。
さて、最終回は「サプリメントの摂り方」についてガイドしていきます。
実は、サプリメントには、「1日あたり3粒を目安に」などと書かれて
いるだけで、あまり具体的な摂取方法は書かれていません。
なぜかって?
それは、サプリメントは医薬品ではないため、病院で処方される薬のような
表示をしてはいけない、という規則があるからなんです。
では、私達はサプリメントをどのようにして摂取すれが良いのでしょう?
◆1 サプリメントの摂り方
▽いつ、どのように摂るのがいいのか?
吸収効率の点から判断すると、一般的には
→「食事と一緒に摂るほうがいい!」
と言えるでしょう。
食事と一緒であれば、本来の消化吸収機構が働きます。
そのため、サプリメントの成分が水溶性でも、脂溶性でも、食事中の
さまざまな栄養素と一緒に吸収されやすくなるからです。
また、脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)は食間に摂ると、
吸収効率がよくありません。
脂肪分を含む食事と一緒に摂る方が、より良く吸収されます。
ですから。
→ 一般にサプリメントは「食事と一緒に摂りましょう!」
吸収されないと意味がないですからね (^^)
(注)病院で処方された医薬品を、食前や食後に服用している方へ。
サプリメントを摂る場合は、相互作用を避ける意味で
摂取する時間を30分から1時間ほどあけるほうが良いでしょう。
▽どれくらいの期間、摂取したらよいのでしょう?
一般的には、短い場合でも「1ヶ月間」は摂りましょう!
通常は2~3月間は継続してみましょう。
そこで、効果を判定するのが理想です。
また、ビタミンやミネラルといったサプリメントは、基本的にはずっと
継続して摂取するのが良いとされています。
もちろん、サプリメントの種類や個人によって効果に差があります。
(注)薬草の一種であるハーブサプリメントの場合
数週間摂って、1~2週間休みをとるという服用方法もあります。
▽複数のサプリメントをとる場合は?
複数のサプリメントを摂っている方もいると思います。
でも、何だかサプリメント同士の相互作用が心配!なんて人もいますよね。
そのような方は次の点に注意してみましょう。
まず、摂取しているサプリメントを次の3つのグループに分けます。
1.本来、食材として利用される動植物に由来するサプリメント
(例)ブルーベリー、クランベリー、苦瓜、大豆、(ウコン)など
2.香辛料として使用されてきた成分に由来するサプリメント
(例)カプサイシン、甜茶(てんちゃ)、シソの実油、ウコンなど
この2つのグループのいずれかに属するサプリメントであれば、
複数摂取しても、まず問題はありません。
3.薬草・ハーブ類のように、食品や香辛料などではなく、日常的に
摂取する成分ではないものから作られているサプリメント
これらは少し注意が必要です。
組み合わせによって働きが悪くなることがあるからです。
→ たくさんのサプリメントを摂る時は、食品や香辛料に由来する成分か?
ハーブ類なのか?
ぜひ、確認して下さいね。
▽妊娠中のあなたへ!
妊娠中は避けたほうが良いサプリメントとして、女性ホルモン様物質を
含むサプリメントがあります。
これは、サプリメントのパッケージや商品カタログに書かれていますので
確認して下さい。
一般的には、妊娠中や授乳中は使用を控える方が無難でしょう。
▽高齢者が用いる場合は?
ビタミンやミネラル、植物エキスなどは通常の量で大丈夫です(^^)
ただ、ハーブエキスをとる場合は、3~4割程度少なめが良いでしょう。
なぜなら、肝臓や腎臓の機能が年齢とともに低下するためです。
▽病気療養中のサプリメント摂取はどう?
病院で処方された医薬品に加えて、サプリメントを使用する場合が
あると思います。
サプリメントを病気の治療や症状を改善するために、医薬品と併用する
ことが必ずしも問題という訳ではないんです。
実際に、ガン治療において、化学療法や放射線療法とサプリメントを
併用する事も考えられます。
でも!
抗酸化ビタミン(ビタミンA,C,E)は、ガンの化学療法中に併用しては
いけません!
治療効果が減弱すると考えられます。
主治医やサプリメントに詳しい医師に相談するのが良いでしょう。
----------------------------------------------------------------------
10回にわたる「サプリメントの真実を目指す旅」もこれでおしまい!
お付き合い頂きありがとうございました~!
サプリメントについては、機会をみて「とっておきの情報」をお知らせする
予定です。
さて、次回からは「膝の森」シリーズへ戻ります。
膝痛で悩んでいる方。実はとっても多いのです。
特に中高年の方に多いのがこれ。
■「変形性膝関節症(へんけいせい ひざ かんせつしょう)」です。
わかりやす~くガイドしていきます。
お・た・の・し・み・に~
サプリメント選びの真実
「サプリメントの真実を目指す旅」も残り僅かです。
今週は前回に引き続き、「サプリメント選びの真実」の<後編>です。
読者のみなさんから、最も多かった質問はこちら
●サプリメントをどうやって選べば良いの?
●良いサプリメントの見分け方はどうするの?
これはサプリメントを利用する方々だけの問題ではありません。
たびたび相談を受ける事のある、我々医師にとっても重要な問題です。
今回もサプリメントについて皆さんが誤解しやすいポイントを
ガイドしましょう。
◆1 サプリメント選びの真実 <後編>
---------------------------------------
●サプリメントは「栄養補助食品」
何を今さらっ~!
なんて声が聞こえてきそうですが、実は「医薬品の一部」だと勘違い
している方が結構多いのです。
サプリメントは、体の健全な成長や発達、健康の維持に必要な栄養成分
補強を目的とした「栄養補助食品」です。
誤解のないよ~に♪
●サプリメントと医薬品の違い
医薬品とは薬事法で規定されています。つまり、服用方法が確立して
いるのですね。
また、製品に含まれる成分も決められた量になっています。
一方、サプリメントはあくまでも「食品」です。ですから、医薬品のような
「服用方法」は記載されていません。
特定の用量や用法が厚生労働省によって許可されたわけではないので、
同じ主成分の製品であっても、メーカーごとに主成分の含有量に多少の
違いがあります。
もし、サプリメントのパッケージに「服用方法」が記載されていれば
それは一体...??? 注意して下さいね。
●サプリメントを摂る理由を見直そう!
あなたがサプリメントを摂る理由は何ですか?
いろいろあると思いますが、医学的に大切なのは二つ!
1.日常の食事では不足しがちな栄養素を確実に摂取
2.特定の効果・効能を得るためにある程度の量を摂取する
たとえば...
老化や発ガン一因として活性酸素(かっせい さんそ)の作用が一般にも
知られています。
この害を小さくするために、抗加齢(アンチエイジング)や病気の予防
を目的として、抗酸化作用のあるサプリメントを摂取する。
これらは医学的にも理想的な理由ですね。
これを機会に見直してみましょう。
●ライフスタイルに合わせたサプリメント選び
サプリメントには沢山の種類があり、どれをどれだけ摂取するかは、
みなさんの体質や性別、年齢、生活環境やストレス、喫煙や飲酒といった
「生活環境」
によって異なります。
・仕事が忙しくて、食生活が不規則な人
・無理なダイエットをしている人
・高齢者で食が細く、上手く消化吸収が出来ない人
などなど。
ライフスタイルに合わせたサプリメント選びが大切です。
●米国製か日本製か?
サプリメントの大きな問題点の一つがこれ。
▼「メーカーによる品質の差が大きい」
これは、日本だけではなく、米国でも同じです!
米国製のサプリメントが優れていると何となく思っている方々が
いますが、それは正しいとは言えません! ←きっぱり!
実際に、成分が不適切であったり、品質に問題があって回収されたり
する問題が起こっているそうです。
商品についての問い合わせや、返品・交感など、アフターケアの点で
安心できるところが良いと思います。
いずれにしても、各自の自己管理のため、自分に合ったサプリメントを
選ぶ知識が必要ですね。
●「好転反応(こうてんはんのう)」に要注意!
広告や宣伝の中で「好転反応」という表現をつかうメーカーがあります。
サプリメントだけではなく、民間療法でも使われているようですね。
でも、この言葉には「要注意!」です。
好転反応とは、「サプリメントを摂り始めたあとで現れる副作用」の事です。
ところが、好んでこの表現を使う業者の好転反応とは。
→ 「好転反応は副作用やアレルギーとは別で、体内の老廃物や毒素が排出
される過程で生じる現象である」
とか
「病気や体調が良くなる方向に向かっている証拠」
などといった説明をします。
サプリメントにも当然のことながら、副作用やアレルギー反応はあります。
特に、植物や動物に由来する抽出成分から作られている場合、皮膚の発疹や
胃腸障害といったアレルギー反応が現れる事は稀ではありません。
このような副作用やアレルギー反応が出た場合には、体質は合わないと判断
して、服用を中止するべきですね。
「好転反応」という言葉は、発疹や胃腸障害などサプリメントによる
健康被害をごまかすために一部の業者によって用いられているようです。
いずれにしても、「好転反応」を宣伝文句に使っているメーカーには
要注意ですよ。
みなさんはごまかされないように!
----------------------------------------------------------------------
さて、9回にわたりガイドしてきました「サプリメントの真実を目指す旅」
は次週が最終回です。
そう、当初から全10回シリーズの予定でした。って偶然です...m(_ _)m
次回は「サプリメントの摂り方」です。
医薬品ではないサプリメントには具体的な服用方法は記載されていません。
では、「いつ?どのように?」
妊娠中は? お子さんは? 高齢者の方は?
病気療養中は?
これらについてガイドしましょう。
お・た・の・し・み・に~
サプリメントの選び方
「サプリメントの真実を目指す旅」も最終コーナーに差し掛かりました。
今回まで、整形外科医にとっては特に関連の深い「関節炎」と「サプリメント」
について、英語論文を紹介しながら科学的根拠をガイドしてきました。
しかし、実際の医療現場では関節炎に限らず、サプリメント全般について
質問を受ける事も少なくありません。
読者の方からもたくさんの質問を頂きました。
中でも最も多かった質問がこちら。
●サプリメントをどうやって選べば良いの?
●良いサプリメントの見分け方はどうするの?
そこで、今回から2回にわたりこの問題をガイドしていきます。
◆1 サプリメント選びの真実 <前編>
---------------------------------------
外来で患者さんからサプリメントの質問を受けるたびに、専門書や
論文を読んだりしてきました。
実際に、患者さんと話をしてみると、実に多くの方が誤解をしている事に
気付いたのです。
これは私にとっては驚きでした。
今回は前編として3つの誤解を解いていきます。
●広告から判断するサプリメント選び
みなさんは何を基準にしてサプリメントを選んでいますか?
新聞やちらしに入っている広告を見ると、「いかにも効きそう!」
という口説き文句が並んでいますね。その表現は実に巧みです。
では、何を基準にすれば良いのでしょう?
広告の何を読んで判断すれば良いのでしょう?
医師としての観点から、これらの広告をズバッと斬ってみましょう!
●サプリメントは天然か合成か?
サプリメントの広告やパンフレットをみると、合成ではなく「天然」を
使用していると「強調」しているものが多くあります。
ネットを検索すると、「合成サプリメントは有害!」とか「効果があるのは
100%天然物だけ!」と謳っているサイトも数多く見られます。
これは真実なのでしょうか?
<誤解その1> サプリメントは天然物ではないとダメ!
(合成物は有害である)
じつは...
↓
↓
▼合成されたものが全て有害ではない。
▼天然に由来するものでも有害なものは沢山ある。
これが医学的に判断される結論です。
実際、ビタミンCやEでは合成されたものと100%天然のものがあります。
どちらも科学的には全く同じです。
むしろ製造コストから考えると合成されたものの方が有利ですね。
さらに、近年欧米ではインドや中国から輸入されている天然物が重金属に
汚染されているという問題も生じています。
天然に由来するビタミンCが合成されたものよりも効果があるとすれば、
それは合成か天然かの違いによるものではありません。
それは「天然素材に含まれる他の物質の効果によるもの」と考えられます。
▼費用体効果
また、コストも考える必要があります。
継続的に使用する場合、もし天然物の方が効果が20%大きくても、コストが
100%(つまり2倍)大きかったらどうでしょう。
あなたならどうしますか?
費用体効果も考えてみるべきでしょう。
■「合成よりも天然が良い」という思い込みは余計なコストを負担します。
■「天然」という言葉の魅力に負けて、高価な買い物をする必要は
ありません。
*ただし、ハーブサプリメントは天然物が望ましいと考えられています。
●サプリメントにおける「酵素(こうそ)の働き」
サプリメントや健康食品の広告で「酵素(こうそ)」についての説明が
されていることが良くあります。
酵素とは、何らかの活性を有していて、人間が生きていく上で必要な
さまざまな生体反応に関与しているものです。
たとえば、食べ物の消化吸収にはタンパク質や脂肪の分解酵素、肝臓では
アルコールの分解酵素などが働いています。
そこでこちら
<誤解その2>
サプリメントには酵素が含まれているのが理想的!
しかし、、じつは...
↓
↓
酵素自体はタンパク質であり、酵素を食べても消化管で分解されてしまいます。
つまり、活性は失われてしまうのです。
→ ■一般的にタンパク質である酵素を摂取しても、その効果はほとんど
期待出来ません(涙)
ですから、サプリメントの広告で「酵素の働き」について記載されていたら
よく検討してみる必要があります。
注)例外もあります。
・パパイアに由来するパパイン
・納豆に由来するナットウキナーゼ
●サプリメントのパッケージ 成分表示がされている?
まず、外装やラベル、カタログを良く確認する必要があります。
ここでは要点をいくつか挙げましょう。
・内容成分
・含有量
・栄養成分
・原材料
・賞味期限
・保存方法
・製造、販売元の連絡先
これらの記載が欠けているものは、もちろん薦められません。
これはみなさんも良く解っていると思います。
ところで、一般的にサプリメントには、形状を保つために充填剤や粘着剤、
表面加工のための添加物が使用されています。←知っていましたか?
これらはゼラチンやグリセリン、ミツロウなどです。
もちろん、少ないのが理想的ですが「存在そのものを不純物として否定」
している場合があります。
<誤解その3>
表示にゼラチンやグリセリンなどの充填剤があったら有害である。
↓
↓
これはどうでしょう。
もちろん、少ないのが理想的です。
しかし、それほど神経質にならなくても良いと考えられています。
充填剤の占める量があまりに多いのは問題ですが。
(原材料の多くを充填剤が占めるのは論外です)
むしろ、大切なのはこちら
■原材料にアレルギーとなるものが無い事を確認する!
ことが大切です。
たとえば、カニやエビなどの甲殻類などにアレルギーを持つ方にとっては
キトサンというサプリメントは注意が必要です。
*キトサン カニの甲羅やエビの殻などに存在
つまり、有効成分としての内容成分だけではなく、「原材料」としての
成分表示がされているサプリメントを選ぶべきでしょう。
今週は少々長~くなりました。
お付き合い有難うございます。
ちなみに有益なサイトはこちらです。
■論文検索には MEDLINE
→ http://www.healthy.pair.com/
■「健康食品」の安全性・有効性情報
→ http://hfnet.nih.go.jp/
ぜひ、参考にして下さいね。
さて、次回は「サプリメント選びの真実」<後編>です。
今週に引き続き、有益な情報がいっぱいです。
お・た・の・し・み・に~
グルコサミンとコンドロイチン
今週も引き続き、「サプリメントの真実を目指す旅」をガイドしていきます。
さて、前回までの真実を目指す旅の復習です。
関節炎に効果のあるとされる「グルコサミン」と「コンドロイチン」。
これらは世界的権威のある論文で単独での使用でも「効果あり!」という
結果が出ていることを紹介しました。
でも、広告などで紹介されているサプリメントをみると、実は単独で使用されて
いるものは殆どありません。
なぜ???
それは単独で使用するよりも「グルコサミン」と「コンドロイチン」を併用する
方が効果があるからなんです。
では、どれくらいの配分が推奨されているのでしょう?
さっそく興味深い論文を紹介しましょう。
◆1 最も効果があるとされている配分とは?
------------------------------------------
■Prim Care. 2002 Jun;29(2):263-77.
-----------------------------------
Osteoarthritis: supplements and other alternative modalities.
-------------------------------------------------------------
この論文はアメリカはイリノイ州のNovey博士が報告しているものです。
ずばり結論から言いましょう!
↓
↓
↓
↓
↓
●コンドロイチン 1回 400mg 1日3回 計1200mg/日
●グルコサミン 1回 500mg 1日3回 計1500mg/日
この組み合わせが、現在では最も推奨されているのです。
もちろん、まだまだ組み合わせについてはデータ不足ですので、今後の
研究結果によっては違った組み合わせが推奨されてくる可能性もあります。
ただ、論文として評価されている配分は上記のとおりです。
もし、みなさんの中で「グルコサミン」や「コンドロイチン」などの
サプリメントを内服している方がいましたら、ラベルを見てみましょう。
もし、友人や知人で内服している人がいたら、教えてあげて下さい。
推奨されている組み合わせはこちらです。
↓ ↓ ↓
●コンドロイチン 1回 400mg 1日3回 計1200mg/日
●グルコサミン 1回 500mg 1日3回 計1500mg/日
決して安くはないお金をかけて飲む訳ですから、少しでも科学的根拠に
裏付けられているサプリメントを飲みたいですよね。
ぜひ、サプリメント選びの参考にして下さいね。
さて、「サプリメントの真実を目指す旅」もいよいよ最終コーナーです。
今後もみなさんに有益な情報をお伝えしていきます。
お・た・の・し・み・に~
コンドロイチンの効果
先週ガイドした「コンドロイチン」。関節炎に効果があるサプリメントとして
世界中で使用されています。
でも、本当に効果があるのでしょうか?
実際に効くのでしょうか?
では、さっそく興味深い論文を紹介しましょう。
◆1 コンドロイチンは効くのか?
--------------------------------
■J Rheumatol. 2000 Jan;27(1):205-11.
-------------------------------------
A metaanalysis of chondroitin sulfate in the treatment of osteoarthritis.
-------------------------------------------------------------------------
この論文はオーストラリアのLeeb 博士らが世界的医学誌のJ Rheumatolに
報告したものです。
これは372人の患者さんを対象としています。
コンドロイチン(単独)を投与した群と、プラセボ群を比較検討したもので、
120日以上経過した後に評価しています。
その結果は...
↓
↓
↓
「50%以上の患者さんに効果が認められた!」というものでした。
つまり結論として...
●関節炎に対してはコンドロイチン単独でもその効果は十分期待できる
としています。
今回紹介した論文だけではなく、基礎実験結果なども考慮すると
●「コンドロイチンは少なからず関節炎に効果がある」
と考えて良いでしょう。
いままで「サプリメントの真実を目指す旅」を供にしてきたあなたは
●グルコサミン
●コンドロイチン
は「関節炎の治療として効果があるサプリメントである」と分かったと
思います。
でも連日のように新聞やちらしで広告されているサプリメント商品を
よく見てみましょう。
単独での使用は殆どされていません。
それはなぜか?
↓
↓
↓
↓
↓
●グルコサミンとコンドロイチンの組み合わせが「より効果がある!」
----------------------------------------
からなんです。
(これはKellyという博士が論文でも報告しています)
でも両方の成分が入っていれば良いわけではありません。
効果が最も期待される、推奨されている「配分」があるのです。
その配分とは?
次回、科学的根拠(エビデンス)とともにガイドします!
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~
コンドロイチンとは?
今週は関節炎の治療に効果があるとされるコンドロイチンについてです。
そもそもコンドロイチンとは一体なんなの?
◆1 コンドロイチンの正体とは?
--------------------------------
■コンドロイチンの成分
これは体内ではタンパク質と結びついて、コンドロムコ蛋白という形で、
関節軟骨や結合組織を構成しています。
■体内のどこにあるの?
主に、皮膚、血管壁、軟骨、関節、眼球、角膜、粘液、各臓器などに分布して
います。そう、体中にあるのですね。
■どんな作用があるの?
現在までに沢山の生理作用が証明されています。その中でも、みなさんの
生活に密着したものを抜粋して紹介しましょう。
1.カルシウムの代謝に深く関与して、骨の成長、骨折の回復、骨粗しょう症の
防止する
2.傷ついた皮膚や組織を補修する
3.血液中のコレステロールや過酸化脂質を除去し(脂血清澄作用)、動脈硬化や
高血圧を予防する
4.関節軟骨の成分であり、関節・靭帯・腱の弾力性、円滑性を保つ
5.皮膚のみずみずしさ、若々しさを向上させる
まだまだ他にも沢山あります。
実際に腎炎、ネフローゼ、リウマチ、神経痛、腰痛、五十肩、肩こり、夜尿症、
眼疾患、脱毛症などを適応症とする医薬品に用いられています。
どうやらわれわれ人間の体には、「欠かせない成分」である事は間違いないようです。
しかも、若い頃は体内で生合成されますが、加齢とともに産生されなくなってきます。
そのため、次第に外部から補給する必要性が出てくるのですね。
■食物に含まれてる?
ではどんな食物に含まれているのでしょう。
一般的には「ネバネバ」したものに含まれています。
たとえば...
納豆、山芋、オクラ、なめこ、海草などです。
また高級ですが、フカひれ、ツバメの巣、スッポンなどにも含まれています。
ただ、いずれにしても含まれている量は僅かです。
そのため、各種の健康食品が開発され、市場に出回っているのですね。
さて、今週のガイドはここまでです。
来週は、コンドロイチンが関節炎に本当に効果があるのか!について
エビデンス(科学的根拠)を示しましょう。
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~
グルコサミンの科学的根拠2
寒波にも負けず(?)「サプリメントの真実を目指す旅」も順調に進んで
います。
今週は「グルコサミン」についての「科学的根拠」第2弾です。
先週は「グルコサミンは効く!」という代表的な論文を紹介しました。
すると、読者の方々から「グルコサミンを飲んでも全く効かなかった!」
というメールを頂きました。m(_ _)m
実際、外来で患者さんからこのような話を聞かされる事も少なくありません。
今週は「グルコサミンは効果なし!」と報告した代表的な論文をガイドします。
------------------------------------------------------------------------
◆リウマチ学会誌(the journal Arthritis & Rheumatism Oct.15;738-45.2004)
------------------------------------------------------------------------
●Randomized, double-blind, placebo-controlled glucosamine discontinuation
trial in knee osteoarthritis.
抄録はこちら → http://tinyurl.com/939jl
この論文はバンクーバーにあるカナダ関節炎センターのJolanda Cibere博士らが
報告しているものです。変形性膝関節症の患者さん137名を対象としています。
まず、約半数の人(71人:グルコサミン内服)に一日1,500mgのグルコサミンを
約2年間摂ってもらいました。
その後6ヶ月間の追跡調査をして、プラセボ偽薬を飲んだ人(67人)と
比較してその効果を調べた研究内容です。
さて、気になる結果ですが。
ずばり。
「グルコサミンは効果なし!」 オー。マイ、ガット!....(泣)
みなさんから「え~!やっぱり~!」とか「効くと信じていたのに~!」
そんな声も聞こえてきそうです。
ではこの結果をもう少し細かくガイドしましょう。
まず、関節炎の再燃率では、グルコサミン服用者とプラセボ服用者との
間には有意差はなかったということです。
さらに、グルコサミンを摂った人は、痛みが軽くなったり炎症が軽くなったり
していなかったと報告されています。
また、炎症反応はプラセボ群では42%が、グルコサミン群では45%
と差が見られず、依然続いていたということです。
この研究者の結論は以下のとおり。
●患者さんはたとえ初期に効果があったとしても、長期服用で本当に効果が
得られると考えないほうが良い!
しか~し!
この研究結果に疑問を投げかけてる専門家は少なくありません。
サンフランシスコのストーン・スポーツ医学及び関節炎研究所の
Kevin Stone博士は、この報告に対して以下の点で反論しています。
1.対象が少なく(137名:グルコサミン内服は71名)であり、欠陥が
多い。
2.グルコサミンを途中で止めた人の結果も含まれている。
これは私の個人的な見解ですが、この研究結果は説得力に乏しい内容ですね。
対象となっている人数が少なく、経過観察期間も短いです。
その点では、先週ガイドした2つの論文の方が信憑性はかなり高いと言えます。
まだまだ、議論の余地はありそうですが、世界の流れは
「グルコサミンは効果あり!」
です。ただ、ネットや新聞、メディアを通じて広告されているグルコサミン
全てに効果がある訳ではないようです。
効果があるのとないものとの違いは?
これについては、いずれガイドしましょう。
さて、次回はグルコサミンと双璧をなす、「コンドロイチン」について
ガイドします。
「サプリメントの真実を目指す旅」はまだまだ続きます。
整形外科医がエビデンス(科学的根拠)を示しながら、わかりやすく
ガイドして行きます。
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~
グルコサミンの科学的根拠
「サプリメントの真実を目指す旅」も中盤にさしかかりました。今週からは
「グルコサミン」についての「科学的根拠」についてガイドします。
ずばり!
グルコサミンは効果があるのか?
いやいや、過剰な宣伝ばかりでほとんど効かないのか?
まずは、今までに報告された論文の中で、「効果あり!」と結論された
代表的なものを紹介しましょう。
◆Lancet (Reginster 2001)
-------------------------
このLancet(ランセット)は世界的に有名な医学雑誌です。かなり信憑性は
高いと思います。
この論文では、グルコサミン1500mg/日の3年間の長期的大規模研究結果が
発表されています。プラセボ群(グルコサミンを内服していない)では3年間
で関節裂隙(関節の隙間)は0.31mm減少したのに対し、グルコサミン群では
僅か0.06mmの減少にとどまりました。
また、症状スコアはプラセボ群で9.8%悪化したのに対し、グルコサミン群では
24.3%も改善し、また副作用も見られなかったという内容です。
◆米国リウマチ学会(2004)Olivier Bruyere
---------------------------------------------
これは、ベルギーLiege大学のOlivier Bruyere氏が、サンアントニオで
開催された米国リウマチ学会で報告したものです。
変形性関節症の治療薬としては、患部の炎症を抑えるだけではなく、
関節の構造自体を改善して、病気の進行を遅らせることができる薬
(DMOAD、disease modifying drugs for osteoarthritis)が期待され
ています。
この報告では、被験者数は、試験開始時点で計414人、終了時点では
計259人で、グルコサミン投与量は1日1.500mgでした。
ちなみにDMOADの基準に合格するには、関節スペースの狭窄、痛み、機能
の3点を改善する必要があり、更に治療効果がプラセボ偽薬以上であること
を示さなければなりません。
そこで、プラセボ偽薬と比較したところ、プラセボでは“治療反応者
(効果のあった人)”は41人(32%)だったのに対し、グルコサミンを
投与した群では71人(53%)で、グルコサミンの効果が確認できました。
この結果は、グルコサミンを服用すると“効果が現れない治療失敗者”
になる危険率が0.68倍にまで低下し、治療効果が期待できると
されています。
以上より、グルコサミンはDMOADの基準を満たし、単なるサプリメント
以上の効果が証明されたものといえます。
つまり「グルコサミンは効果あり!」と証明されたのです。
------------------------------------------------------------------------
残念ながら今週のガイドはここまで!
今週は代表的な2つの論文(報告)を紹介しました。
これらの論文では、「グルコサミンは効果あり!」
という結論になります。
確かに、これ以外にも「グルコサミンは効果あり!」という報告は沢山あります。
でも、どうやら反論の論文や報告もあるようです。
次週はグルコサミンの効果にギモンを投げる論文を紹介します。
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~
グルコサミン
先週から始まった「サプリメントの真実を目指す旅」。今週は関節の痛みを
和らげるといわれている「グルコサミン」についてガイドします。
「サプリメント」という言葉を聞いたことがない方はいないでしょう。
ネットや広告を通じて、まさに情報が氾濫している時代です。
しかし、本当に効果があるのでしょうか?
効能は?
安全性は?
科学的根拠は?
作用メカニズムは?
これらについて整形外科医の眼を通じてわかりやすくガイドしていきます。
◆グルコサミンとは?
--------------------
グルコサミンは魚や動物のムコ多糖類に含まれる成分で、軟骨(なんこつ)
を構成している成分の1種です。
かにやエビなどの甲殻類のキチンに多く含まれています。
グルコサミンは新しい軟骨の生成を促進し、変形関節症の進行を食い止め、
場合によって治癒に向かう効果があるとされています。
◆グルコサミンの作用メカニズム
------------------------------
グルコサミンはグルコサミノグリカン(ムコ多糖類)と総称される分子の
主要成分です。
これは、各組織の柔軟性や弾力性に寄与しています。
代表的なものが実際に医療現場で関節内注射に使用されるヒアルロン酸や
コンドロイチンなどです。
このグルコサミンは代表的なアミノ糖として、結合組織や「関節軟骨」に
分布しています。
これをサプリメントとして経口摂取すると、消化管から吸収され、関節軟骨
などの成分として利用されます。
◆期待される効能とは?
---------------------
一般的にどのような効能が期待されるのでしょうか?
成分を考慮すると以下のような効果が考えられます。
●変形性関節症(へんけいせい かんせつしょう)や関節炎に伴う症状の
予防や改善
●関節軟骨の障害を回復させる作用
●関節軟骨の保護作用
などです。
◆安全性は?
------------
これまでの臨床試験では、特に問題となる健康被害や副作用などの報告は
出ていません。
他のサプリメントとの相互作用も報告されておらず、併用は問題ないとされて
います。
ただ、静脈に直接に投与した研究では、糖の代謝に影響を与えるとの報告があり
ます。糖尿病で治療中の患者さんは主治医に相談した方が良いでしょう。
なお、一般的には経口摂取であれば、問題ないといわれています。
------------------------------------------------------------------------
残念ながら今週のガイドはここまで!
グルコサミンは効果あり!と思われている方。いやいや、嘘っぱちだ!と
思われている方。
ついに次週にその【科学的根拠】をガイドします。
2000年にアメリカで発表された「米国医師会ジャーナル」や2001年度の
世界的に有名なイギリスのジャーナルである「ランセット」に掲載された論文
などの内容を紹介します。
なかなか手に入れられない情報が満載です。
ぜひ、お見逃しなく。
お・た・の・し・み・に~
サプリメント
「膝の荒野編」の途中ですが、今週から少々寄り道をしていきます。
日頃、外来で患者さんから良く聞かれる事があります。それは「サプリメント」
についてです。
近年の規制緩和の結果、日本でもドラックストアやコンビニエンスストアの
店頭、通信販売のカタログなどでも沢山の種類のサプリメントを見るように
なりました。
実際、私の友人は大量のサプリメントを買い込み、毎日何錠も飲んでいます。
体の調子がすこぶる良いそうです。
でも、サプリメントは「一般食品」であるため、病気の予防や改善といった
効能効果を表示する事は、薬事法などの関連法規によって規制されています。
ですから、どのサプリメントの成分がどのような病気や症状に有効なのかと
いう基本的な情報が伝わっていません。
果たしてサプリメントは効果があるのでしょうか???
今回は、整形外科医の目を通してじっくりとガイドしていきます。
特に、膝の痛みとの関係にフォーカスをあてていきますね。
◆サプリメントとは?
--------------------
そもそもサプリメントにはどんな意味がるのでしょうか?
サプリメントとは、日常の食事で不足しがちな栄養分を補う食品。あるいは
積極的に摂取する事で健康増進や病気の予防効果の得られる食品です。
厚生省の報告書では次のように定義されています。
サプリメント:栄養成分を補給し、または特別の保健の用途に資するもの
として販売の用に供する食品のうち、錠剤、カプセル等通常の食品の形態で
ないもの。
つまり・・・
サプリメントとは、体の健全な成長や発達、健康の維持に必要な「栄養成分
の補給」を目的としたものなんです。
ちなみに英語では「ダイエアリー・サプリメント」日本語では「栄養補助食品」
といいます。
◆サプリメント大国・米国
------------------------
一般に、米国では、国民の健康意識が高く、各自が質病予防に積極的に取り
組んでいます。
米国は、日本とは医療保険制度が異なり、病気になると高額な医療費や保険料
が必要となります。
ですから、人々の最大の関心。それは・・・
日頃からの「健康維持」にあります。
最近、サプリメントを上手に利用して、体の状態を最適に保とうとする人々が
とても増えているんです。
◆サプリメントの歴史
--------------------
では、サプリメントはいつから広まっていったのでしょうか?
サプリメントの利用が急増したのは90年代です。
94年に栄養補助食品健康教育法(DSHEA)が成立したことがきっかけです。
この制定によって、サプリメントが「医薬品と食品との間」に位置づけられました。
これがきっかけで、「食事+サプリメント」
↓
↓
↓
「健康を維持」
という考え方が広く社会に浸透していったのです。
一方、日本ではサプリメントは「食品」の位置づけです。
日本のサプリメント事情はアメリカよりも20年遅れていると考えられて
います。
◆関節の痛みをやわらげるサプリメント???
------------------------------------------
患者さんからよく新聞広告やチラシを見せられることがあります。
先生?このサプリメント効きますか?
見ると、関節痛がこんなに楽になった~。とか、何年も痛くて歩けなかった
のに、このおかげですいすい歩けるようになった~。とか、レントゲンの写真
でこんなに関節の隙間が開いてきた~。
見事なまでの宣伝文句が並んでいます。
では、本当のところ。
サプリメントは効くのでしょうか?
医学的に認められているもので、関節痛などに効果があるとされている主なもの。
それは・・・
1)グルコサミン
2)コンドロイチン
です。
でもその真実はあまりにも知られていません。
真実は一体?
-------------------------------------------------------------------------
今週のガイドはここまで。
次週はグルコサミンとコンドロイチンについてガイドします。
実際のエビデンス(科学的根拠)も紹介していきます。
なかなか手に入れられない情報も紹介しますね。
お・た・の・し・み・に~