脊椎をガイドする(創刊号)
脊椎をガイドする 2004/7/5
みなさま。はじめまして。整形外科医をしておりますフー(もちろん、ペンネームです。)と申します。
2年前から勤務先で新聞を発行し、「整形外科散歩道」のタイトルで連載を始めました。
その結果、患者さんをはじめ多くの方々から反響があり、毎回楽しみにしているとうれしい声をたくさん頂きました。
そこで、より多くの皆さんに整形外科の事を知って頂こうと思い、この度「まぐまぐ」でメールマガジンを発行することとなった訳です。初めての試みなので相当まごつきましたが、何とか第1号が発行出来るようになりました。
まだ、この発行はごく親しい数人しか知りませんが、先ほど確認したところ、116人もの方が登録して頂いていました。身に余る光栄です。気持ちが高ぶるとともに、いい加減な事は書けないと身が引き締まる気持ちです。そして、やはり「感謝」です。
整形外科とは、私たちの生活や活動に直結した運動器を扱います。運動器とは、四肢、脊柱、骨盤であり、これらを構成する骨、関節、靭帯、動かす筋肉、腱、そして血管、神経と広い範囲に及びます。
つまり、整形外科とは「機能外科」なのです。
このメールマガジンでは、整形外科の疾患を、一般の方から、医療関係者まで分かり易くガイドします。
腰痛、肩こりといった馴染み深いものから、人工関節置換術などの専門的な分野まで時に「キトキト」(新鮮、最新な)情報も取り入れながら、皆様に発信していきます。
また、「フー」の独り言(漫談?)などもお伝え出来たらと思っています。
□■Dr.フー 険しき山:脊椎をガイドするの巻き
みなさま!こんにちは!Dr.フーです。今日からみなさんと一緒に整形外科の広い分野を散歩して行きましょう!
時に険しい山あり谷あり、こんもりした森から穴のあいた鍾乳洞までいろんな危険に出くわすかもしれません。
でも、大丈夫。Dr.フーがしっかりガイドします。さあ、一緒に行きましょう!
【其の1】 背骨の役割
みなさまの体を常に支え、時に重い荷物を持つことを可能にさせ、
前屈や後屈といった運動にも関わっている背骨。いったいどんな構造をしているのでしょうか?
○●<背骨は24個の骨のつながり>
背骨は「脊椎」(せきつい)と呼ばれています。首のところにある「頚椎」(けいつい)、
背中のところにある「胸椎」(きょうつい)、そして腰のところにある「腰椎」(ようつい)で成り立っています。
「頚椎」は7個、「胸椎」は12個、「腰椎」は5個、の計24個がつながって構成されているのです。
○●背骨の3つの機能
背骨には次にあげる大きな3つの機能があります。
1. 支持性:しっかり体を支えます。上半身を腰から骨盤、足にまで伝えて支えています。
2. 可動性:前後、左右、回旋などの動きを可能にします。つまり、頭、胴体、骨盤に動きを作っています。
3. 神経の保護:背骨は脊髄(脳から続いている重要な神経)を取り囲んで、外力から守っています。
○●背骨はS字???
人の体をヨコからまじまじと見たことはありますか?是非一度、家族、友人、恋人の体を「ヨコ」から見てみましょう!
実は「頚椎」の部分では前方に、「胸椎」では後方に、そして「腰椎」では前方に凸型のカーブを描いています。そうです。
全体として「S字型」を呈しています。何故でしょう?
感の良い方はわかったでしょうか。実は「バランス」をとっているのです。前後に3つのカーブを取ることによって
バランスの良い「たわみ」を持っているのです。この「たわみ」が大事なのですね。人間の体は本当によく出来ていると感心します。
さて、今回のガイドはここまでです。一緒に散歩できた事を嬉しく思います。脊椎の全体像がつかめましたか?
次回は頚椎をもう少し詳しく散策しましょう。日本人の大敵「肩こり」にも迫っていきます。お楽しみに!
Dr.フーの「知恵のなる木」Q&Aも配信にむけて準備中です。
みなさんが日頃感じる素朴な疑問などなかなか医者には聞けないないような質問でも結構です。
以外な医学の常識とウソがあるかもしれません。みなさまからのメールをお待ちしています。
みなさんと一緒に知恵のなる木を育んで行きましょう。